ドイツ
ドイツにおける核廃棄物処分場
安全な処分方法はない
クラウス・エンガート
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世界31カ国にある442基の原子炉から排出される放射線廃棄物の量は増え続けているが、これをどうするのだろうか? 一般的なシナリオによれば、それは何十年もの間、「安全な処分場」を見つける問題だとされてきた。最新の発表によれば、ドイツの地下の54%がそうした処分場に適しているとのことである。しかし、この議論は典型的な煙幕だ。それは人を誤らせるものである。
「処分場」か?
時限爆弾か?
一般的な議論は「処分場」が絶対に必要だというものだ。その議論については、原子力発電の反対派でさえたいていは疑問に思わない(そして、法律で規定されている)のだが、他の種類の廃棄物にも一貫して適用される原則に従っている。つまり、しばらく目につかなければ記憶から忘れ去られるという訳だ。
だから、われわれは、悪臭を放つ、錆びている、毒を放ち、放射能を持つ文明の遺物を、可能な限り目に見えず、永遠に安全だとされるような埋設場所を見つけなければならない。このために使われる用語、すなわち美しい新造語である「処理」はまた、さらに大量の(放射性)廃棄物の蓄積によって、必然的に引き起こされる正当な憂慮が最終的に払拭されることを示すために作られたものである。
しかし、現実はこの婉曲な言い回しを裏切るものだ。つまり、原子力発電所はかつては輝かしい未来を持つと言われていたのだが、そのがれきは、これまでは、処理作業というよりはむしろ気楽な事案に近いものだったのだ。二つ、三つ例を挙げてみよう。
?最初の原子力発電所のメルトダウンとして知られるものは、1952年にカナダのオタワ近郊にあるチョーク・リバー研究所のいわゆるNRX原子炉で起きた。その後、簡潔な解決策が選ばれた。すなわち、メルトダウンした核反応炉の炉心残留物を埋め、超寿命核分裂生成物で部分的に汚染された400万リットルの水を汚水だめの中で見えなくしたのだ。
?1961年、アメリカ・アイダホ州の砂漠にある国立原子炉試験場で、軍事用沸騰水型原子炉の原型が完成した。その過程で死亡した3人の兵士を取り除いた後、解体された原子炉建屋の高放射能部分は最終的に近くに埋められた。
?スイスのグシュタード州リュサンの実験炉は、3つの岩の洞窟の中に建設されていたが、1969年に炉心の一部がメルトダウンした。事故で生じた放射性残留物のほとんどは中間貯蔵施設に運ばれたが(ただし、2003年以降)、洞窟は現在も放射能で汚染されたままである。多孔質の砂岩は、放射線が減衰するのに十分な期間、放射性粒子を貯蔵できると想定されていた。この施設はその後も排水処理をしなければならず、排水からはトリチウムを中心とした大量の放射性物質が検出され、しかも2011年以降増加している。
?こうした種類の「処理」のもう一つの例は、ドイツのアッセにある「中間」貯蔵施設である。そこでは、穴が空いたバケツのように放射能が漏れており、現在は修復中である。
?旧ソ連には、解体された原子力潜水艦や原子炉のために、簡潔な「最終解決策」があった。ノルウェーの環境保護団体ベローナによると、ソ連は1960年から1993年の間に、放射性廃棄物を積んだコンテナ1万7千個と貨物船19隻、放射能汚染された重機部品735個、原子炉14基、原子力潜水艦1隻を、主にノバヤ・ゼムリャ島沖を中心とする北極海で沈めた。他にも1989年と2003年に事故で沈没した潜水艦が2隻ある。しかし、これはソ連の発明ではない。1994年に放射性固体の投棄が国際的に禁止されるまで、すべての核保有国は合計10万トンの核廃棄物を世界中の海に投棄した。そのうちの80%はイギリスによって投棄されたものだった。
これらはすべて廃棄物処理場なのだろうか? 責任者次第かもしれないが、明らかにそうである。ロシアが北極海に投棄する場合を除いては、除去する計画はない。しかし、この場合は、そこに投棄された潜水艦の一つが爆発する恐れがあるからに過ぎないし、さらに、その海域で石油やガスの掘削が計画されているからである。そして、アッセに関する限りでは、反核運動の粘り強い活動がなければ、現在の放射能除去作業はほぼ確実に実現していなかっただろう。
手当り次第に
無意味な模索
国際的には、適切な廃棄物貯蔵場所探しが猛烈に進められている。もっとも先に進んでいるのはフィンランドである。すでに原子力発電所がある島で、花崗岩の深さ450メートルに低・中レベル放射性廃棄物の貯蔵施設が建設され、1992年から稼働している。高レベル放射性廃棄物の処分場も建設中で、今年中に稼働を開始する予定である。
スウェーデンと中国も花崗岩に頼っているが、スウェーデンではすでに稼働中の低・中間レベル廃棄物処分場がすでに水の浸入を経験している。スイスは粘土岩の中に貯蔵しようとしている。フランスは粘土に頼っている。
このような実験のすべてに共通しているのは、必要とされる100万年間の「安全な貯蔵」は、せいぜいもっともらしい希望でしかないということである。最近、処分場探しに関与しているドイツの専門家の一人が、せいぜい数千年くらいしか予測可能ではないと認めた。アメリカでは、オバマ前大統領が当時、まさにこうした理由で現在の計画を中止した。
また、単純に核廃棄物を宇宙に打ち込むという議論もあった。菓子業界の有名な宣伝スローガンによれば、障害の一つは、必要とされるロケットの現在の失敗率では、消費したエネルギーの一部が往復郵便で戻ってくるということである。もう一方では、原子力産業は、核廃棄物をリサイクルしたり、長寿命核分裂生成物をいわゆる核変換によって半減期の短いものに変換したりするための新しいタイプの原子炉を普及(実験)させている。
地上保管が
唯一の対案
要約すると、放射性廃棄物の安全な処分方法や「最終」保管方法は存在しないということである。述べてきたアプローチはすべて、可能な限り安価に処分するか、人間と環境に敵対するこの技術を継続的に運用する方法を見つけるかのどちらかであるが、実際にはその両方である。
もっとも安価というわけではないが、この問題の最善の解決策は単純である。すなわち、いつでもチェックや調整が可能となる適切な安全対策のもとで地上に保管することである。これが、膨大な量の高濃度放射性物質が、今後数千年間に忘れ去られてしまうことを防ぐ唯一の方法である。もう一方では、単にスペースとコストの問題から、中期的には原子力産業が自然と行き詰まるという利点もあるだろう。
「地上に残せ!」というスローガンはそれゆえ、ドイツ・シュトゥットガルトの巨大地下駅反対運動だけでなく、反原発運動にも適用されなければならない。
(クラウス・エンガートはドイツの医学博士)
(『インターナショナル・ビューポイント』2020年12月1日)
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